心の病−自殺への対応 平成13年1月26日 東京品川区「ゆうぽうと」 現在日本では、年間3万人を越える自殺者があり、厚生省が勧める「健康日本21」では年間2万2千人以下にする目標が揚げられている。高橋助教授は精神障害や、中高年の躁うつ病、自殺の危険性の高青少年の見分け方、自殺予防のプログラムなどについて語る。 診療の例にはいろいろな相談があるが、話しを聞くことが基本である。相談に来る人は答えを持ってきている。聞いてもらって決断・決心ができる。また、昔なら精神科に来ないようなケースや人生相談も多い。心の病は体の病と違い、正常と異常の区別がつきにくい。親への意識や性意識の問題などのように、時代と共に正常・異常が変わってくる。また、精神科医は仏教者と違い、心は脳にあるという唯脳主義者である。 精神障害には心因性、外因性、内因性がある。外因性ははアルコールなど原因があきらかなので、主に心因性と内因性を説明します。また、遺伝子の問題は見過ごせないが、精神障害は遺伝だけではない。 心因性精神障害の原因は心理的な葛藤であり、何かを得るときに満足できなかったり、得られないときに葛藤を起こす。そしてその中核に神経症・ノイローゼがある。ノイローゼは死への不安がベースになっているのでノイローゼで自殺することは普通はない。しかし、辛いので死んでしまいたいと発作的に思うこともある。神経症の中には
内因性の神経障害には神経分裂症があり副自殺の危険が高い。神経分裂症は思春期に発症し
残酷な犯罪を起こすと思われるが逆で、起こさない患者の方が圧倒的に多い。おとなしくなり主体性がなくなって、幻覚・幻聴を起こす。薬物や宗教でも幻覚・幻聴は起こるが、精神分裂症の場合は一層リアルに見え・聞こえる。さらに、妄想が起こる。 いま、日本の中高年・四十代から五十代の自殺が増えてきていますが、原因の特徴は躁うつ病。躁病はとても楽しい状態。うつ病は自信がなくなり、自分がすべて悪いという状態で躁状態の時には自殺はないが、必ず反転する。 うつ状態では気分・行動・思考が低下し
戦争の時はいつ死ぬか分からず、自殺はまれだった。ストレスは物のない時代の方が多かったが、自殺は少なかった。死が身近になく、物が余っている時代に死にたくなる。リストラをされても餓死する人はほとんどいないはずなのに、中高年の自殺は多い。これは豊かさと同時に他者との関係が希薄になったからである。子供が人の痛みが分からなくなり犯罪が増えているのと同じこと。一人の自殺者が出ると、家族など辛い人・被害者が最低で五人は出る。高齢者の自殺も昔はなかった。形態的には孤独でない大家族の老人でも、話を聞いてくれないと自殺することがある。 日本のように、“働かない人は食うべからず”では老人には辛い。アメリカでは年金をもらう人はエリートだが日本ではお荷物になっている。身体的ハンディキャップを持つ人、有能でない人は死んでも良いという考え方は恐ろしい。誰でも仏様の子だときちんと教えていかないといけない。 次に青少年の自殺についてですが、自殺の危険性の高い者を見分ける方法に
自尊心は高望みしなければ達成感があるので増え、願望ばかり強く達成しないと減っていく。親の願望が強いと自尊心は低くなる。売春やいじめは自尊心が虐げられている結果と思われる。 また、死ぬ死ぬという人は本当は死なないというのはウソ。死にたいほど辛いということなので、真剣に聞くことが大事。自殺をする人はたった一つの出来事ではなく、いくつもが重なって、ある出来事をきっかけに死ぬ。「自殺直前のサイン」として
生きていることはすばらしいこと。自殺予防のプログラムをどう作るか。自殺に至るのはA危機状況、B感情、C行為の順で、その中で感情が一番問題になる。自殺願望者への接し方と同じように
アメリカでは学校で自殺について教育をするのが最も有効な予防になるとされている。具体的な進め方は
自殺をしようとしている人にインフォメーションを与えていけばついてくる。自殺者は相談者がなくて自殺する。そのためには、相談機関の電話番号やリストを相談を受ける人が作っておくこと、知っておくことが大切。立正福祉会もそういうリストに載せることができることを切に願う。 質疑応答「閉じこもって家から出られない人や不安発作のある人への対応方法について」「自殺予防プログラムの載っている資料について」など活発な意見や質問が講師に投げかけられた。 (平成13年度研修会・第4回相談員研修会) |

