立正福祉会 全国家庭児童相談室
相談事例集抄録

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子ども虐待の現状と理解−家庭児童相談室としての対応

平成15年9月2日 東京都品川区「ゆうぽーと」
講師:青山学院大学教授 庄司順一先生

都立母子保健院の指導員経験もある庄司先生は自らの体験を交えて、現在、大きな社会問題となっている子ども虐待の現状と対応を述べた。

「虐」という字は「虎」が「爪」で傷つけるという意味があり、虐待の定義は大人が子どもに不当な権力行使をし、その結果、子どもの心身に重大な影響が生じることをいう。虐待の種類としては、@身体的虐待(暴力)Aネグレクト(養育の怠慢、不衛生な環境に子どもを放置する等)B心理的虐待(乱暴な言葉を浴びせ続ける等)C性的虐待などがあげられ、最近は、乳児ゆさぶり症候群(極端に乳児をゆさぶる)や、適切な治療を受けさせない医療ネグレクトも増えている。

虐待は必ずしも暴力を伴わない場合もあり、よく言われる「しつけ」との違いは、「子どもの側から見て、親との間に不適切な関わりがあり、結果、子どもの心身に何らかの障害が認められる」ことである。したがって、子どもの人権を無視した大人の誤った力の行使はすべて虐待とみなされる。

虐待の実態については、平成14年度には、約25,000件の報告があり、10年間で20倍以上の増加。このほかにも報告されない潜在化した虐待が無数に存在すると考えられ、虐待は決して特殊なケースではなく、日常に起こり得る危険性を帯びている。

虐待が及ぼす影響として、子どもの身体生命への危険に加え、子どもの心に深い傷を残し、将来の犯罪に繋がりやすいこと、次世代にも虐待を引き起こす“虐待の連鎖”などである。

虐待対策の第一段階としては早期発見が重要で、虐待の可能性がある時点で、役所の児童相談室等に通報し、素早い対応を行うことが求められる。その後、行政の判断により、児童養護施設が保護に向かうが、各地域に点在する家庭児童相談室は、そこに到る以前で虐待の未然防止や悪化に歯止めをかける意味で重要といえる。

特に民間が運営する施設は、増加を続ける家庭問題に対する地域密着型としての機能が期待され、子育てに不安を抱える親同士の交流や、相談員による子どもと親へのケアが今後、ますます不可欠なものとなっていく。

● 講演後の質疑応答では、参加者の「相談室はどこまで家庭に踏み込めるのか」との質問に対し、講師は「強制力は児童相談所か警察のみが持つが、各地域の相談室はこれら行政側と連携を密にして、住民とのネットワークを構築することが大切である」と答えた。

(平成15年度研修会)

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