全国家庭児童相談室連絡協議会 会長 楠山泰道結縁…過渡期社会へのアプローチ現在、我が国では、戦後の経済至上主義を目的とした社会のシステムが破綻し、その改編作業が政治・経済の分野を中心に進められています。この時代の変革の大きな波は、日本の家族、そして、この次の時代を担うべき若者たちの心の問題にも押し寄せて来ています。家族の結びつきは極めて弱くなり、また、子どもたちは「人はどう生きたらよいのか」ということの規範を見失っています。 13万人あまりの小中学校の不登校の生徒や、推定100万人と言われる社会的ひきこもりといわれる若者たち、また、ニートと呼ばれる仕事も学業にも就いていない若者は70万人を数えるまでになっています。そして、依然として深刻なレベルにある陰湿ないじめや学級崩壊など、子どもたちを巡る状況は重篤さを加えています。 また、家族の問題においても、離婚の増加の他に、家庭内暴力(DV)、児童虐待、ネグレクトなど、以前には日本の社会にはあまり見られなかった家庭そのものの病理が蔓延しています。 そして、この豊かな社会であるはずなのに、年間3万人を越える自殺者を出すこの社会は、やはり根底からおかしくなっているというしかありません。 21世紀をになう子どもをどう育てるか。非常に重要な問題になりました。 また、1995年(平成7年)に起こった「オウム真理教事件」は、それが若者と宗教の関わりの問題であったために、この時代に宗教に向かい合う者として看過できない重大問題でした。いわゆる「カルト入信トラブル」という全く未知の領域に対しても、私たちの家庭児童相談室が関与することになりました。この「カルト入信トラブル」という事象も一向に減る気配がありませんし、どんどん低年齢化が進んでいます。すでに、高校生がこの問題を引き起こす事例がたくさん報告されています。 かつて、寺院は地域社会の相談所でした。僧侶という存在は、自らの求道修行と併せて、悩める衆生の声に耳を傾ける存在であり、それゆえに、人々からの信頼を受けて来たと言えます。私たちはそうしたお寺の原点に戻って、人々の現実の悩みに受け答えたいと思います。もちろん、総てを解決する力量はありません。しかし、いっしょに考え、悩むことはしたいと思います。 ひとりで悩まないで、私たちに相談して下さい。人間が引き起こした問題を人間が解決できないはずがありません。きっと、解決の糸口がみつかるはずです。 |

