立正福祉会 全国家庭児童相談室
相談事例集抄録

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自立できない障害児の息子と宗教依存心理の強い母親

(1)主訴

軽度の身体障害を持つ息子が養護学校高等部卒業後、地域の障害者のための作業所に通っていたが、周囲との人間関係がうまくいかず、やめてしまった。現在、家で一日を過ごしている。本人の自立を促す方法はないか。

(2)家族構成

父親 母親 兄 本人(24歳)男性

(3)相談経路

母親が直接来談

(4)家庭の状況(生育歴・人間関係など)

母親は、息子の障害を霊の障りだと頭から信じ込んでおり、現実の問題には思考停止の状態にある。父親はそうした母親に批判的であるが、すでに半分諦めている。本人は身体に障害が残るが、知的能力は普通である。母親がある宗教に依存しているのは自分の障害のためであると感じていて、それゆえに、性格的にますます暗く、遠慮気味になっているという感がある。障害者のための家庭内作業の制度があるが、この町ではまだ実施されていない。来春からできるらしい。

(5)相談経過

□相談期間3ヶ月
□相談回数 5回

【初回】
母親来談。「息子の障害は何の“因縁”か」という唐突な質問。次回、自宅を訪問して、本人と面談することを約して、初回面談を終了。

【第2回】
自宅訪問して本人と面談(障害を持つ身で山の上の寺まで来るのは気の毒と思い、自宅へ訪問した)。家の中は、車椅子での生活を考慮して、1階部分はスペースを広くとってある。色白の青年で、手も足もものすごく細く、それでもどうにか車椅子で室内は移動ができそうだ。本人の会話は大変聞き取りにくいが、本意の目的はよく理解してくれた。
以前通っていた作業所もボランティアを頼っての通所が本人には苦痛だったようだが、障害の自己容認が充分できてないようである。本人への接触よりは、母親に対する指導が先決と思われるが、アプローチの方法を考える必要がある。寺は好きなようなので、定期的に当相談室へ来てくれるよう話をし、次回の日時を約束した。

【第3回】
母親来談。信仰について母親と話し合う。宗教依存というよりも、ある祈祷師個人へのカリスマ依存の心理が非常に強いように感じられる。したがって、そうした信仰面での依存傾向を直接批判するのではなく、何か目標を見誤ってないかどうか、息子のことを本気で考えているのなら冷静さが必要であるということを指摘するに留めた。

【第4回】
本人来談。話のテーマはもっぱら母親の強度の宗教依存(カリスマ依存)の問題。本人は、大変、よく現状を理解してくれて、「私が仕事に一所懸命になれば、お母さんの生活態度は改善されるのですね」と発言。この答えを是として、第4回を終了。

【第5回】
家庭訪問。本人の歓迎を受ける。本人の表情がよく、初会とは比べものにならないくらい明るい表情を見て安心。世間話を少しの時間して辞去する。

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