立正福祉会 全国家庭児童相談室
相談事例集抄録

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ニート

(1)主訴

26歳の男性。大学4年時に際して、長年の希望であったマスコミ業界への就職活動を行なうが不調。卒業を一年伸ばして再挑戦するが、今回も失敗。さらに一年卒業を先延ばししたいという本人の希望があったが、両親が不許。大学は卒業し、一時期、フリーターで働いたがやがて“ニート”の状態に。帰省して両親と共に暮らすが、普段はパソコンに向かっていることは多い。しかし、引きこもりとは異なり、買い物などの外出はできるし、また、地元の高校時代の友人との交友もある。「働く意欲が湧かない」「生きる目標がない」などと不定愁訴。

(2)家族構成

祖母 父親 自営業 母親 専従者  本人(26歳)  妹

(3)相談経路

親戚に勧められて

(4)家庭の状況(生育歴・人間関係など)

本人は子どもの頃身体がやや弱く、学校も休みがちな時期があったという。また、すでに亡くなっているが、祖父母に非常にかわいがられたという経験がある。これらのことから想像するに、過剰な甘やかしと両親の遠慮があったことは否めない。

(5)相談経過

□相談期間6ヶ月
□相談回数 6回 ※両親との面談2回 本人に対するカウンセリング4回

【初回−母親】
母親が来談。本人の現状、性向、生育歴、これまでの経過を聞き取る。次回は父親の来所を指示。

【第2回−父親】
父親来談。概要と父親としての解決の方向性を質問する。この際、この問題の解決には、父親の関与が最終的な決めてになることを指摘。一般論としての“ニート”のメンタリティについてのブリーフィングを行なう。

【第3・4・5回−本人】
本人に対するカウンセリング。本人の趣味の話に寄り添いながら、子どもの頃からの経験について質問形式で問い、性格形成上の過程を再構成する作業を行い、なぜ、「働く気力」がそがれるかの理由について、ともに考える作業を行なう。また、この途中、本人が付き合い始めているガールフレンドの存在を知り、5回目はそのガールフレンドを交えた会食会の形でのカウンセリングを試みる。

【第6回−父親と本人】
本人と父親と面談。これまでの面談・カウンセリングの結果から判明したことを両者に報告する。そして、これからの「社会復帰」に向けてどうするべきかを考えさせた。結局、父親の心の底にある希望は家業を継いでもらいたいということであったが、本人がそれをかつて拒否したことで、直接に言い出せなかったことが、ここ3〜4年余の“ニート”状態を作り出した一因であるという当方の見解を伝えた。父親は改めて本人に対して自分のその希望を述べたところ、非常に素直に父親の申し出を受け入れた。

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